ぶつぶつノート ~ごはんおかわり~

たとえアイコンがうさぎになろうとも、ヒト型ネコはゆずらないっ!
ごはんおかわり! お茶も!
あ、ぶぶ漬けでもどうですか?

カテゴリ:いつものぶつぶつ > ホンのちょっとした話

九州の佐賀の片田舎から京都に憧れて出てきた戦争未亡人の中年女性・武上春恵。子育てからも解放され、田舎の目からも解放され、ようやく自分らしく生きようと京都へ。
その舞台は嵯峨野・落柿舎。

落柿舎は、俳人・向井去来の寓居であったところ。
その落柿舎十一代目庵主にして、再興に半生を捧げたのが元相場師、その後俳人・工藤芝蘭子。(ここは事実)
不思議な縁で、春恵は落柿舎の留守番役として働くことになる。(ここはつくり話?)
阿部牧郎という作者は、実はこの武上春恵ではないか、と思うほどの心情描写である。

嵯峨野の自然・風物・景色……。
そのなかでの人との交わりあい。交錯する思い。

京都にあこがれる女に、京都の人々が冷たいわけはないと信じていた。


と希望にあふれて京都に来たのに、それが、

嵯峨野はけっしてとくべつな土地ではないと春恵は思った。美しい山河があり、意味深い史蹟がある。が、それ以上にさまざまな人物がいた。男と女がいた。いろんな人が、それぞれのいいぶんをかかえて生きていた。おなじ人が仏になったり鬼になったりした。(略)嵯峨野はよその土地とまったくおなじだった。


となった。人間の業の深さというか、そういう人間心理が細かく描かれています。

古き良き昭和の頃の嵯峨野の風景。もう今となっては見られない光景ではありますが、しかし落柿舎の辺りはその面影を残しているとも思えます。といっても、その頃はまだ生まれてもいない私ではありますが。
私自身は、この「嵯峨野物語」を読んでから後で落柿舎を訪れたことはないのだけれど、この話を読んだ後の気持ちを抱えて訪れてみたいとも思う。
また、この小説の背景をもっと詳しく知りたい方は『工藤芝蘭子』の本もあります。
もちろん、何も読まずに、落柿舎を…嵯峨野を「感じに」行くのもいいと思われます。


嵯峨野物語 (文春文庫) 嵯峨野物語 (文春文庫)
(1988/11)
阿部 牧郎

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集成 落柿舎十一世庵主 工藤芝蘭子―荒廃した落柿舎の戦後の再建者。相場師工藤が私財を投げ打って落柿舎と共に歩む晩年の俳句人生。 集成 落柿舎十一世庵主 工藤芝蘭子―荒廃した落柿舎の戦後の再建者。相場師工藤が私財を投げ打って落柿舎と共に歩む晩年の俳句人生。
(2004/02)
不明

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「鳴くようぐいす平安京」――794年、平安遷都

桓武天皇の成し遂げたこの偉大な事業については、誰もが知るところだと思う。
それ以来、長きに亘って京(きょう)は京(みやこ)であり続けた。
しかし、と思う。
実はその桓武天皇については何も知らない、ということに気づいた。
そういえば、京都にも桓武天皇ゆかりのスポットというのはあまり記憶にない。
まぁ、都市全体がゆかりの地といえるかもしれないが。

山部王、のちの桓武天皇の物語。
私の頭の中で、「平安京に遷都した桓武天皇」ということしか知らなかったのに、途端に生き生きとした野望ある青年となった。

皇族の末席にいるだけの存在が「聖王」たらんとして天皇となり、政道をただすために都を遷るという大事業に挑む。


聖王が仁愛によって民の支持を受けるのが王道。覇者が武力によって民を従わせるのが覇道。
 


聖王となるか、覇王となるか、がこの物語の大いなるテーマのように思えた。


「……皇族はつねに、聖王を目指して、王道を歩まねばなりませぬ」
 


という母の言葉。
一方、


「……おぬしは傀儡であってはならぬ。山部王よ、おぬしは曾祖父、天智天皇のごとき覇者とならねばならぬ。臣を従え、民を治(しら)す、偉大な覇王とならねばならぬのだ」
 

という道鏡の言葉。
さて、山部王――桓武天皇は「聖王」となるのか、はたまた「覇王」となるのか。

「鳴くようぐいす平安京」――たった10文字で表せるような話では…到底なかった。

桓武天皇―平安の覇王 桓武天皇―平安の覇王
(2004/06)
三田 誠広

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なお、ストーリーは面白く読めたものの、気になる点が少し。
「○○。のちの○○天皇である」「後に大いなる悲劇につながろうとはこの時は思いもしなかった」「遠い未来のことであるが恐るべき不幸が…」などという、後の話を先にしてしまう、ネタバレのような書き方が多く見られたこと。
私が時系列を追って後で驚きたいと思うからか、残念に思えた。気になりだすと本当に多く見受けられるような気がした。
あとは、「百済王(くだらのこにきし)」というのが「くだらのこにしき」に見えてしまって困った、ということぐらいである。


「京都適齢期」なミソジ女のための“読む”ガイドブック――といったところでしょうか。
“カワイイ”だけでは飽き足らない。渋~い“ほんまもん”を究めるには若すぎる。そんなミソジ。
そんなミソジの欲求を満たすような京都を紹介し綴った本。

が、実はこの本自体がそんな“ミソジの欲求を満たす”ようにできている。

今さら、メジャーな観光社寺に行くようなミーハーでもない。
→京都じゅうの行き先をちょっとずつ書いたようなガイドブックはもう卒業。
でも、いきなり千年の都の文化を究めようというほどには至っていない。
→そんなむつかしい専門書みたいなのはゴメン。
読むことそのものが楽しい、そんな京都ガイド。

知欲、食欲、物欲、飾欲、生活欲……の5章仕立てとなっております。
修学旅行の頃には分からなかったこと。
何度も来るようになって分かったこと。
まだまだ奥が深いということが分かってきたこと。
そんな京都が、京都らしくミソジらしく、詰まっていますよ。


ミソジの京都―知る・買う・食べる・暮らす ミソジの京都―知る・買う・食べる・暮らす
(2009/09/28)
高橋 マキ

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京都人の中でも「生粋の」と言われるような部類の方の描かれたエッセイ(エッセイマンガ)。
入門というには深~い京都も描かれています。京都人も知らんような。
よその土地から京都に入ってきた私のような「半よそもん」には、「へぇ~」「あ~わかるわ~」「なるほど~」が交互に訪れるような感じでした。

人の目を気にする見栄っ張りな京都人のエピソード。面白がっちゃいけないのかな、面白いけど。
旅行の前に新しい肌着を買うおばあちゃん。
「この年やといつどこぞで倒れて病院担ぎ込まれるか分からへんさかいなぁ」
風邪ひいて寝込んでる作者。突然、新しいパジャマに着替えさせられ、客間で客用布団に移される。 何ごとかと思っていたら、担任の先生がお見舞いに登場。
お母さん
「普段使いの部屋で汚なぁて恥ずかしいわぁ~」
…やて。
いやぁ、京都はまだわからんことばっかりやわ。

ところで、京都に来るまで私は「だし巻」ゆうもんをほとんど食べたことありませんでした。
今では、何ぞ晩ご飯に一品足したいと思ったら「だし巻」、お店に甘い卵焼きとだし巻と並んでたら「だし巻」、選ぶくらいにはなりました。

せやし だし巻 京そだちせやし だし巻 京そだち
(2010/04/13)
小林 明子、ハンジ リョオ 他

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迷いと焦りのバレンタイン2011。

ずいぶん前に図書館の本で見かけて一目惚れしたはずのレシピを探すものの、書名のメモすら取ってないから結局見つからず。
じゃあ、ネットか本屋で探そうと、似たようなレシピを探す毎日。
一応これにしようとネットのレシピに決めたあと、本屋さんでステキなレシピの載った本を見つけました。
ただ、ひとつのレシピのために新刊本を買うなんてなぁ~、と思いまして、第一案と迷いに迷ったあげく、これは今年つくるべきだよな、と妙に納得してアイデアだけもらって決めたのが第二案。

それが、うさぎ型クッキー(黒はココア、白はホワイトチョコ入り)

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いや、「しろいうさぎとくろいうさぎ」クッキー。

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絵本「しろいうさぎとくろいうさぎ」は結婚式の思い出の品のひとつ。
しろいうさぎとくろいうさぎが結婚するのですが、いいお話で、大好きです。(絵本は最近思い出して買いました。)

ただ、久しぶりに作ったクッキーは大変でした。
生地はまぁ問題なくできたものの、型抜きする時に細かい耳の部分が取れてしまうのです。
ムリヤリくっつけたり、型を置いて外側を爪楊枝で切り取るようにやってみたり、諦めてネコにしたり。
美しいうさぎはホンの数匹しかいません。
ちなみに、これまで飼い主の入浴中にケーキを焼いたりいろいろしてましたが、今回はコタツでうたた寝してる間に仕上げの型抜きと焼きを行いました。

なんとかできあがったのは14日も終わる頃。寝ぼけた飼い主の口にムリヤリ入れました。

チョコレートが好きな飼い主でもなければ飼い主が好きなわけでもなく(ウソウソ)そもそも作ったのもチョコレートでもないし、バレンタインに大して意味はありません。
自己満足とストレス解消のためのお菓子作りのハズだったのに、今回は少しの不満とストレスの増えたクッキー作りとなりました。

来年はこのようなことのないよう、第一案のチョコレート菓子を早めに見つけておき、準備万端でのぞむことを、誓います。

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(おまけのネコ)

 
黒うさぎのサブレってのが作りたかった…

「うさぎの島」「うさぎのぼうけん」という2つの絵本があります。
ひょんなことからこの2冊を見つけて、並べて見ることになりました。
表紙がそっくりだけどタイトル違うし……違うお話だよね、と思って読んだら、訳違いのおんなじお話でした。
“ぼうけん”はですます調で、“島”はである調です。まぁ、内容は一緒ですけど。

「うさぎ工場」で長く過ごしてきた灰色の大きなうさぎと、やってきたばかりの茶色いチビうさぎ。
チビ茶うさぎは、得体の知れない工場が嫌で嫌で仕方ないので、逃げ出そうとします。
灰色でかうさぎは、もうすっかり外のことなど忘れていて、むしろ工場サイコー!なのですが、チビうさぎと一緒に脱走します。
……さてさてどうなる?

いくらでも深読みできそうな、少し諷刺の利いた感じですが、私は気に入りました。
まぁ卯年の絵本としていかがでしょうか。

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