ぶつぶつノート ~ごはんおかわり~

たとえアイコンがうさぎになろうとも、ヒト型ネコはゆずらないっ!
ごはんおかわり! お茶も!
あ、ぶぶ漬けでもどうですか?

カテゴリ:旧HP記事 > 地域情報資料室

 10月22日。それは京都にとって特別な意味をもった日。――そう、今から1212年前、京都に遷都された、都遷りのその日なのである。そんな日に、私たちは、……ものすごく困っていた。――道に迷い途方にくれ、1人は車に酔っていた。
 さあ、いったいどうなる?! 続きもWebで!

 その前日、キラヤさん(キ)が我が家を訪れた。次の日はきものを着て出かけようと相談した。ワインを飲んだ。行き先はなかなか決まらなかった。遅くまでワインを飲みながら語り合った。時代祭は避けようと話し合った。話はすぐに脱線した。ワインを飲んだ。……そして寝るのは遅くなった。
019a-breakfast  翌朝、気合の入ったキラヤときよこ(き)の2人は早く起きた。朝食の準備をしつつ、着付けの準備にとりかかかった。しかし、なかなか思うようには進まなかった。「10時に出発しよう」と言っていたが朝食を食べ始めた時、すでに10時を過ぎていた。
 何とか出発はした。飼い主(主)に車を出してもらった。目的地は北区(の山の方)にある宗蓮寺(そうれんじ)。秋明菊と石蕗(つわぶき)が見頃らしい。地図は前日に確認していた、が、持ってはいない。でも大丈夫。飼い主は周山街道に慣れている。「そうだねぇ、道はだいたいわかるし、30分ぐらいで着くんじゃないかなぁ」(主)。そう複雑ではない、はずだった。しかし気がつけば時すでに遅し。曲がるべき道は通り過ぎていた。消防署なんてなかったぞ。……迷った。携帯のナビは使い物にならない、なぜなら山は圏外である。そう、ここは山道。睡眠不足、食後すぐの出発、きものによる締め付け、山道……。さまざまな要素が複雑に絡み合い、キラヤさんは、嗚呼、車に酔ってしまった。
 目指すべき方向をすっかり見失った私たちは、目に映った「北山杉資料館」に立ち寄った。京都府の木である北山杉について解説されていたり体験ができたりする施設であり、川端康成の「古都」の舞台で碑も建っている。が、それらには目もくれずに資料館の人に道を訊ねた。全く入館するそぶりもないのに、すごく親切に教えてくださった。
 「こっちから行ったら、トンネルのすぐ手前の道を左に入ってください。トンネル入ったら行き過ぎです。まぁ、トンネル入っても向こう側からまた行けますけどね。そいで、トンネルからしばらくいったとこを左に入っていくんですけど…
――そこは目印か何かありますか?
「目印…山ザキか山タケか、んー、「山なんとか商店」いうとこです。そこから左に行って、もうしばらくとイヌがいっぱいいるところがありますし、
(――イヌ?! いっぱい??!!)
「そっからまた左へ上がっていったら宗蓮寺さんありますわ。今でしたら菊が見ごろですねぇ。」
――ありがとうございます。
 ありがたく地図までもらい、私たちは再び走り出した。しかし、またも間違った。分岐まで戻り進む。「トンネル手前を左、トンネル手前を左……」唱えながら進み、目標の「山なんとか商店」を必死で探す。「見えた、あれだ」……と、その時!

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「あ、イヌ!! イヌがいる! ここだ!」
確かにそこにはイヌがいたのであった。しかももう1匹駆け寄ってくるではないか。よし、目的地は近い。
イヌ地点から再度道を間違え、山道をしばらく進み、……進めど進めど方向を見失い自信も失い、「もう諦めよう、Uターンできるところから戻ろう」そうつぶやいたその瞬間。…目の前に見えたのは、確かに「宗蓮寺」と刻まれた文字だった。

019c-sorenji  ようやく、やっとこさ宗蓮寺に到着。そこは、まさに知る人ぞ知る、というひなびた感じの小さなお寺でした。これがまた、全く誰も知らない、というわけでもなく、タクシーの運転手さんが数名の観光客を案内しておられました。通好みのスポットなのかもしれない。寺はたくさんの可愛らしい花で以って私たちを迎えてくれました。
 寺はかなり山の中に建っていて、階段もので、きもので歩くのには不向きだったかもしれない。でも、都の喧騒からはずれて静かに秋を感じられる、いいところでした。愛らしい花、秋明菊と石蕗、そして(飼い主曰く)「私好みの地蔵」(最初「私似の地蔵」かと思った)が、そこにはいたのでした。

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名称:宗蓮寺(そうれんじ)
場所:北区中川北山町 JRバス「山城中川」下車徒歩10分ぐらい
拝観料:なし(お寺の建物の中には入ってないからわからないけどいらないのでは)
10月頃の見所:秋明菊、石蕗などの花
注意:場所がわかりづらい。北からでも南からでもトンネルのすぐ手前で「中川」方面へ。北(京北側)から行く場合は本文中の赤字を参考に。しっかりと地図を確認してから訪れましょう。
お奨め:せっかくなので今回道を尋ねた「北山杉資料館」へも足を延ばしてはいかが?

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北山周辺は飛び出し注意の少年も北山杉でできています。色なしバージョンもあり。
 

019f-aburimochi  見物した時間より道に迷っていた時間がはるかに長かったものの、空気のいい静かな山寺を満喫した3人。お昼時だけど、朝ごはん遅かったし食べなくていいよね、さ、次はどこに行こうか…と相談していたら「あぶり餅が食べたい」とキラヤさん。「あんた、車酔いしてたんじゃなかったのか?」という心の声が聞こえはしたものの、食欲があるのはよいことだ、ということで、一路、今宮神社へ。実は前日、未だあぶり餅を食べたことのないキラヤさんに、あぶり餅大好き夫婦がその魅力を語っていたのであった。
 お上品なものが多い京菓子の中で、あぶり餅は素朴な味わいが人気(と思う)。きな粉と白味噌のタレと焦げ感が絶妙(と思う)。あぶり餅というのは、そもそもは疫病を鎮めるために行われた今宮神社の「やすらい祭」の際に食べられていたものらしい。今宮神社の参道にはあぶり餅を出すお店が2軒向かい合っている。「一和(一文字屋和助)「かざりや」。どちらも同じ値段で、同じ量。以前テレビで言っていたが「残念なことに2軒はとても仲がいい」そうです。ちなみに、日本最古の和菓子屋だという噂もあります。若干味に違いがあるようで、その日の気分で変わるかもしれないが私の好みは「一和」(たぶん)。香ばし感がちょっと強い(と思う)。今宮神社に向かって右側である。ちなみに、かざりやさん(神社に向かって左)の方には珍しい水琴窟があります。ま、そんなごたくは置いといて、この日もおいしくいただきました。何百年も京の人々は味比べしていたのかしら……。
 いつもはあぶり餅食べてさっさと帰るのですが、観光客モードで来てることだし、ということで今宮神社にも寄りました。神社よりも餅が目的だったもので、どこがどうだったというほどもあまりないのですが、初めて「阿呆賢(あほかし)さん」を試しました。阿呆賢さんは岩です。軽く3回叩いて持ち上げるとすごく重くなり、願い事をしながら軽く3回なでさすって持ち上げて軽くなると願いが叶う、という言い伝えがあるそうです。え? 私? やるの? 願い事ないよ? 仏教徒だよ? とそんなことを言いながらきよこの阿呆賢さん体験。飼い主の助言により「肩こりが少しでもマシになりますように」とお願いすることに。ペシペシペシ、ふんっ。重っ。では、肩こり緩和の祈りを込めて、なでなでなで、軽くなりますように……、ふんっ

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重っ! ……全然軽くならない。あー、肩こりとは一生付き合っていけ、ということですか。つーか、こんな重いもの持ったら肩こり悪化するだろが。まったく、私は阿呆阿呆さんですか。
 こうして、ぶつぶつとつぶやきながら今宮神社を後にしたのでした。
名称:今宮神社(とあぶり餅)
場所:北区紫野今宮町
拝観料:なし
名物:阿呆賢さん 肩こりの人が痛みの緩和を求めてやるのはやめよう
あぶり餅:お店は「かざりや」と「一和」どちらも1人前500円
注意:車で行く場合は停める前に店を決めること。ちゃんと見てはるので停めたほうにしか入れません。
 

 こうして、あぶり餅(と今宮神社)を堪能し、それから十月桜を見に平野神社へ行きました。平野神社については前回書いたのでもういいですよね。春とはうって変わって静かでした。
 平野神社のあとはもうフィナーレに向かいます。家に帰って着替え、JR「嵯峨嵐山」駅までキラヤさんを見送りに行きます。きものを脱ぐと途端におなかがすくもので、わざわざ遠回りして中村屋でコロッケを買って食べました。コロッケがおやつになるっていうのは関西の文化ですよね。あつあつがうまいのよね~。おなかもココロも満たされたところで、キラヤさんを見送りました。ちなみに、見送った後で駅前で最中アイスみたいなのを食べ、再び中村屋に寄って夕飯用にメンチカツとばら売りの地卵を買って帰りました。夕飯用に買ったのに帰ってすぐ食べました。なんだか間食ばかりの1日でした。

 10月22日。それは静寂を求める、でもドタバタの1日でした。でも、みんなが時代祭を見てる時にこんなのもいいかもしれないです。次は、お能を見ましょうかね、キラヤさん。着付け練習しておきましょう。

(2006/11/14)

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 「秋」に「桜」と書いて「秋桜」「コスモス」と読みますね。花の形が桜に似ているから「秋桜」と呼ぶそうです。秋が訪れると咲いているのをよくみかけます。でも、咲く季節も違うし、草花と木に咲く花という違いもあるし、西洋の花と日本の花という違いもあるし、印象は桜とはだいぶ違いますよね。コスモスが秋風に揺れるその姿は、野に咲く可憐な花、という印象でしょうか。高く澄んだ青空が似合う気がします。桜の代わりとはいきませんが、こちらの花にもファンは多いかと思われます。

 でも、秋に咲く桜もちゃんと存在するのです。いわゆる「桜」です。もちろん、コスモスではありません
 春には夜桜の見物客で賑わいをみせる平野神社。そこには、秋空の下、静かに桜が咲いていました。
 その名は、――「十月桜」

 平野神社の境内には約50品種の桜があるそうです。そのほとんどは常識的な花見の時季に咲くようですが、さすがは桜の名所として名高い平野神社。寒桜といって、秋でも冬でも咲く桜もあるのだそうです。その一つがこの十月桜。10月頃から何と3月ぐらいまで咲き続けるそうです(見頃は10月中旬だそうです)。でも、ずーーーっと満開のまま、というわけではなく、ちらほらと、ぽつぽつと咲くのだそうです。一つの花が咲き、そして散る。散るころにまた新しい花がつぼみを膨らませる……というように。
 春の桜とはずいぶん印象が違うようです。春のあの満開の桜、というのは心が浮き立つというか、波立たせるというか、落ち着かなくさせるというか、高揚させるというか、何となく色っぽいというか、そんな感じもあるのですが、この桜は趣がまるで違います。春と秋の違いかもしれません。咲き始めた頃に見たからかもしれません。春の桜は本数が多いからかもしれません。
 春の桜はぶわぁっと咲いて、はらはらと散っていく、その潔いさまが好まれているのでしょうか。でも平野神社で見たその秋の桜は、静かに、実に静かにその花をつけていました。

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 たくさんの人々に見られるわけでもなく、秋空の下で静かに咲き、静かに見つめられる十月桜。秋の日に、こんな花見もいかがでしょう。
(写真は全て10月中に平野神社で撮影)

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名称:平野神社
場所:京都市北区平野宮本町
交通:市バス「衣笠校前」下車、あるいは京福電車北野線「北野白梅町」下車
見所:たくさんの桜。秋は十月桜。コスモスや紫式部も見頃。静かなのがお好みの方は秋、十月においでやす。
公認HP:http://www.asahi-net.or.jp/~cr8y-httr/hirano/index.htm
どうでもいいこと:「こすもす」と打っても「秋桜」と出てこない。だからIMEは嫌いだ。
 
(2006/11/7)

 3月15日夕刻、遠き山に日は落ちて辺り一帯が春の淡い闇に包まれだした頃。常は静かな嵯峨野に多くの人が集まり、にぎやかな祭となっていた。この日は清凉寺、通称・嵯峨釈迦堂涅槃会・お松明式が執り行われた。

 参道と境内にはたくさんの露店が並び、子どもの頃に行った縁日を思い出す。りんご飴、綿菓子、たこ焼き、金魚すくいにヨーヨーつり……。地域に密着したお祭として親しまれているらしく、子どもたちが多く集い、はしゃいでいた。

 ごったがえす中を進み、狂言堂へ。京の三大念仏狂言の一つである「嵯峨大念仏狂言」。時刻は18時30分、東の空に月が覗き始めた頃、ちょうどこの日最後の演目である「土蜘蛛」が始まった。一言も発せられることなく、面をつけて表情も見せず、しかし静かな迫力を伝える。「ガンデンデン」という鉦と太鼓、そして笛の音だけで舞台を盛り上げる。有名な土蜘蛛が糸を出す場面では歓声と拍手の嵐。終了した頃にはすっかり闇に覆われ、きれいなまるい月がその姿を見せていた。

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 点火の時を静かに待つ3基の大松明を取り囲むように並ぶ露店。しばらく、ぶらぶらと縁日気分を楽しむ。この日は本堂も無料公開されていたが、人であふれ返っておりとても入れる様子ではない。そういえば、大晦日にも無料で公開されていたが、その時は本当に静かに静かに拝観することができた。時刻は19時を回っておりかなり寒かったので、境内の中にある「大文字屋」さんであぶり餅を食べながら休憩。ついこないだ今宮さん(今宮神社)門前の「かざりや」さんで食べたばっかりだったが、あぶり餅好きなので仕方なし。お茶を飲んでしばらく温まる。

016b-taimatu-tenka  20時少し前、再び境内に戻る。大松明の近くに陣取り、点火を待つ。月は知らぬ間に少し高く昇っている。20時。にぎやかな観衆が見守る中、「おねり」開始。人々の騒ぐ声の向こうに読経の声も聞こえる。大松明から少し離れたところにある小さなこんもりとした木組みにまず点火。どうも護摩木を焼くためのものらしい。もうもうと白煙があがり、やがて大きなに。時折、火の粉が近くに降りかかる。

そして、いよいよ6、7メートルある大松明に点火。どうやるのかと思っていたら、10メートルもあるかという竹の棒にわらの束をつけ、そこに火をともし、大松明の上からわらごと炎を投下。松明の中から燃え上がった。1基ずつ点火され、そのたびごとに大きな拍手と歓声が起こる。3基目への点火のとき、うまく投下できず再挑戦となったが、そのハプニングも祭の醍醐味ともいうもの。冷たい風にさらされていた身体は、突如熱に灼かれることとなる。風向きによって炎が間近に来ることもあり、最前列に陣取った見物客(特に子ども)があわてて逃げ出す一幕も。

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闇の中、紅蓮の炎は火の粉を巻き上げ、天までも焦がそうかという勢い。壮観圧巻。釈尊入滅の時の荼毘の炎もこのように燃え上がったのだろうか。このお松明、燃え具合で稲作の豊凶を占うと聞くが、今年はいったいどう占われたのだろうか。

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それにしても、人は炎が好きなのだと改めて思わされる。古来より人は火をあがめて宗教としてきたと聞く。畏れつつも、しかし近づいていく。
燃え盛った炎も次第に鎮まっていく。人は炎に人生でも映し見るのだろうか。祭は終焉を迎え、参集した人々も家路へと帰ってゆく。

  この寺には学生の頃にも来たことがあったが、ここは静か素朴で、かつ大きな印象だったように思う。にぎやかな祭のその様は、地域に愛されていることが窺われる。

願わくは花のしたにて春死なん そのきさらぎの望月の頃   西行
016f-taimatu-sakura 西行の願った「その」釈尊入滅の際と同じ「きさらぎの望月の頃」。奇しくもこの2006年3月15日は月齢15の満月。境内には彼岸桜というのか八重桜というのか…桜が咲いていた
名称:清凉寺(注:凉の字は涼でなくにすいです)
通称:嵯峨釈迦堂
行事名:涅槃会・嵯峨大念仏狂言・お松明式
見物時の注意:暖かく、汚れても(焦げても)いい服装を
参考資料:小泉順邦「嵯峨大念仏狂言」(1991年、かもがわ出版)
    :西行「山家集」(1982年、新潮社)
 
(2006/3/25)

「……じゃ、明日10時に市役所前で待ち合わせね」
「うん、わかった。きっと待ってるよ」
「待っててね……」(手を振りながらバスに乗り込む)
…と、若干事実とは異なる脚色を施しましたが、おおむねこのような流れで翌日の待ち合わせを決め、嵯峨野巡りを終えた2人。そして翌日午前10時、どちらも遅刻することなく市役所前に無事集合。
 それでは、キラヤ(キ)ときよこ(き)の冬の京都デート・後編、スタートです。

 時は1月中旬のとある平日午前10時。まだ街は寝起き状態、目が開ききっていません。ゼスト御池では時間つぶすこともできません。とりあえず、この日の最初の目的地・一保堂へと向かい、寺町を歩きます。…が、一保堂の開店は11時。がくっ。確かに嫌な予感はしていたのだが…(していたんならちゃんと調べろよ、私)
「どうしよう…」
「どうしようねぇ…」
とひとしきり途方にくれていたら、「ちょっと小腹が空いている」とのたまひしキラヤ殿。今食べたら昼はどうなる?とちらりと思ったが、遠くの昼食より目の前の進々堂。仕方ないと言い訳しつつ入り、キラヤさん、軽く腹ごしらえ。きよこ、野菜ジュースで栄養補給。キラヤさんのサンドイッチも一切れもらいました。

 食べたばっかりでお茶飲むというのもどうだろう。でも、お昼食べた後にすると、時間なくなっちゃうかも。ここまで来たし、やっぱ行くか。ということで、当初の目的どおり一保堂の喫茶室・嘉木へ。でも、その前に。家の緑茶が切れかけていたからここで買っていこう、とまずは店頭で悩む。すると、お店の方がお茶を出してくださるではないですか! なんという心遣い! これぞ京のおもてなしの心! 「いや、喫茶にも行きますので…」と言うと「開いているのでどうぞ」と。まさか「進々堂に行ったばかりですのでもう少しこなれてからにします」とも言えず、買い物は後回しにして先に喫茶へ。
 注文は前日のリベンジの意味をこめて抹茶。きよこは自分で点てるお薄、キラヤさんは点ててもらう濃茶。お茶請けは二条若狭屋の「家喜芋(やきいも)」と、もひとつは何が出たっけ? まぁ、お菓子はいいとこのいいお菓子が出ましたよ、ということですわ。「家喜芋」は一度食べてみたかったので、よかったです。
 そして問題の点前です。お店のお姉さんが教えて下さるので安心です。「茶碗の底にmの字を描くように」「手首が固いですね」「もっとやわらかく」「そうじゃない!」「スナップをきかせて!!」「心をこめて! 心が形を作るのよ!?」といった感じ(あくまでイメージ)で優しく丁寧に教えてくださいました。「自分で点てる抹茶ってちょっとかっこよくないか?」と、抹茶スターターセットを買おうかとも思ってしまいました。思いましたが、きっとなかなか点てることもしないだろうと、やっぱり自宅用の煎茶だけ買って、一保堂を後にしました。

 もう、すっかり本日の目的達成の気分です。食べたばっかりで食べたばっかりですが、昼食のことも考えなくてはいけません。地上を歩くと寒いので再び地下のゼスト御池にもぐります。さすがにもう起きてます。ちなみに、キラヤさんは京都在住の頃からゼスト派(?)というちょっとめずらしい人でした。
 何を買うわけでもなくぶらぶらとゼストを歩く2人。これは観光じゃないなぁ、と思いつつぶらぶらとブラウジング。と、そこにブタ屋さん(と私が呼んでいるブタのぬいぐるみがたくさんあるお店)が。そして、なぜか吸い寄せられてしまうまなざしのぬいぐるみ発見。

015a-butabuta 「あ、ぶたぶた!」

そう、山﨑ぶたぶた氏を発見したのです(ぶたぶたについては以前感想文に書いています)。ま、正確にはぶたぶたのモデルになった「ショコラ」というぬいぐるみなんですけど(いつの間に再販したんだろう)。当然、動かないし、もちろんしゃべらない。でも、ほしい。けど、動かない。悩んだ挙句、結局購入は見送り。あー、でも買っとけばよかったかな。いや、でもなー…。……しゃべらないかなぁー。

 そうやってうだうだ歩き、ゼストを脱出して今度は寺町を南下。「あー、ここ変わったねぇ」「ここは変わらないねぇ」を繰り返しつつ、錦小路まで。復習してくださいね。これは三月うなじの逆ルートです。逆ルートだからといってメンバーが同じでないので、同じように動くとは限りません。特にほしいものがあるわけでもなく、2人とも京都在住歴があるので特段興味をひかれるものもなく、ただの買い物と化していました(しかも何も買わない)

015b-yaoya  適当にぶらぶらと歩き、結局お昼は錦の人気店「やお屋の二かい」でとることに。「かね松」という八百屋さんの2階でお食事ができます。諸事情によりいつもは躊躇してしまいますが、今回は入るぞ! お店の人に食事の旨を告げると、なんと空席待ち。はぁー、やっぱり人気あるねぇ。空くまで1階の八百屋さんで時間をつぶします。メニューは京野菜をふんだんに使った長寿ランチ(2100円)のみ。デザートが3~4種類の中から選べました。自他共に認めるわらび餅好きの私は当然わらび餅、キラヤさんはくわいの道明寺、あと他にも何かあったと思うけど忘れました。野菜中心でヘルシーな感じで「なるほど長寿ランチねぇ」という感じでしたが、いかんせん毎日2100円かけてお昼食べてたら財布がすぐ寿命を迎えます。この時は白和えがおいしかったように記憶しています。わらび餅はもちろんおいしかったです。

 さぁ、食べに食べて錦を後にすると、そろそろお別れの時間。そう、きよこはこれから仕事(15:00~勤務)に行かなければならないのです。
「ついて行こっかなぁー…、どうしようかなー…」(キ)
と、言ってる間にバスが来たのできよこは慌てて乗り込みます。で、結局そこでお別れ。

「さようなら。ありがとう。今日のことは決して忘れないよ…

と言ったという事実はありませんが、そんな感じでバタバタと別れを告げて、唐突に2人の旅は終わったのでした。

 総評。
 かつて秋の嵐山に行った時、「今度はオフシーズンの平日にでも」と述べた気がします。しかし、オフシーズンの平日というのは、観光客もオフですが店や観光スポットまでもオフになるおそれがあるということを学びました。
 活動の拠点(というか住居)が東の果てから西の果てに移りました。嵯峨・嵐山方面にお越しの際は観光の拠点にどうぞお立ち寄り下さい(要予約)。なお、市バスの均一区間外ですのでご注意を。これまではどちらかというと東寄りの観光が多かったので、これからは西側方面を開拓していきましょう。皆さま、どうぞお付き合い下さいませ。 ではまた。

(2006/2/15)

「今、近くまで来てるんだけど、寄ってもいい?」
「どこ? …あ、そう、わかった。じゃあ、バス停着いたら迎えに行くよ」
……と、若干事実とは異なる脚色を施しましたが、おおむねこのような経緯で高校時代からの友人・キラヤさんが私の休みを狙ったかのように我が家を奇襲しました。とはいえ、特に何の準備もしてなかったので、リビングでお茶を出しただけで追い出すように嵯峨野巡りへと行きました。
 それでは、キラヤ(キ)ときよこ(き)の冬の京都デート、スタートです。地図を見ながら読むといいかもしれませんね。どうぞ(このルート通りに行ったわけではありませんよ)

 時は1月中旬のとある平日。ほんの2か月前の喧騒はどこへやら。嵐山はすっかり冬枯れの様相。人もまばら、店もまばら。とりあえず腹ごしらえに、と向かった湯豆腐のおいしいらしい「いわを」はお休み。仕方なく、「よーじやカフェ」で昼食を。キラヤさんは里いもトマトパスタをチョイス、きよこはふわふわオムライスと京野菜カレーとで悩んで「いつもは迷わずオムライスだからたまにはカレー」と血迷った選択。さて、ここで問題。ここで出た京野菜カレーとはどんなカレー?
 1.壬生菜とか水菜とかが京都らしく控えめに入っているカレー
 2.くわいがちょこんと乗っているカレー
 3.賀茂茄子の中をくりぬいてカレーを詰めたまるで味っ子みたいな吃驚カレー
 4.堀川ごぼうの真ん中にカレーが詰まっている味っ子も仰天カレー
 …正解者にはきよこ特製カレーを作ってあげる、かも

014a-saga02-rakusisha そんな会話を交わしながら昼食を済ませ、ぼちぼちと嵯峨・嵐山を歩き出します。「らくがきしゃに行きたいさぁ~」(キ)ということで、キラヤさんが気になったらしい「落柿舎(らくししゃ)」をのんびり目指します。「日本一ちいちゃな美術館」の前を通りすぎ、「2時間サスペンスに出てきそうな竹林の道」(き)を通り抜け、「まるで山陰地方のような」(キ)のどかな田園風景の中を歩き、私がキラヤさんの「らくがきしゃ」を訂正することもしなくなった頃、落柿舎に到着。で、ここまで来て外から眺めるだけで中には入らず。ま、私は以前に入ったことあるからいいけどね。近所には開いているのかどうかわからないお土産やさんあり。
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(キ)「…ん?……こ・ろ・し?」
こら、こっちは「し」って読むのかよ!

…なお、こちらには何とも素敵な「みみ柿」が置いてありました。
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(ちなみに「ころ柿」は「枯露柿」でたぶん干し柿と同じようなものです。この直後にNHKでたまたま見ました)

 さて、次どこ行く?という段になり、「『さがの人形の家』というのが気になるさぁ~」(キ)ということで、次は「さがの人形の家」へ向かってくだらない話をしながら歩を進めます。ひたすら歩いて、歩いて、たどり着いたその先には、固く閉ざされた門

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休館は火曜って書いてあるのに何故? キラヤさんが次回ぜひとも行きたいということなので、いろいろ調べましたら「12月16日~翌年2月末まで平日は休館 ただし、土・日・祝日・1月1日~3日は開館」とのこと。うーん、冬眠だな。ちなみに、入館料は一般1000円、きもの着用で半額だそうです。お庭ではお抹茶がいただけ、池には人面鯉がいるというけっこう盛りだくさんな施設ということで、次回はぜひきもので行きましょう(1000円は高いが500円なら…)

 で、人形の家休みだったけど、次はどうするよ? ここまで来たらもう少し歩くか、ということで、「あたしの念仏寺?」(キ)ではなく、「化野(あだしの)念仏寺」へ。落柿舎も人形の家も入らなかったので、ここぐらい入るか、と拝観料500円を払い中へ。そこは、サスペンスドラマでもよく使われるあの場所。「そういえば、○○さん、あの時変なこと言ってなかったかしら…?」「思い違いじゃないのか」「ううん、間違いないわ」「あ、危ない!」(犯人に襲われる)……と思わずサスペンスごっこをするくらいのうすら寂しい場所です。西院(さい)の河原もあり、もうすぐあっちの世界でもあります。

 そのままあちら側へ行ってもよかったのですが、とりあえず念仏寺を出ました。そして、嵐山に戻りながら茶を一服してこの日の締めとすることにしました。が、冬の嵯峨は休みなのかつぶれてるのか、お店もすっかり冬眠状態。開いている中で入りたくなるお店を探しつつ結局ほとんどスタート地点まで歩き、行きに目をつけていた「指月庵」へ。ここでは自分でお抹茶を点てていただけます(自服。自腹じゃないよ)。が、お抹茶を点てたことはなかったし、普通にお店の方に点ててもらっておうすをいただきました。が、ここでこんなこと言うのもなんですが、ちょっとねぇ、ダマが残っていたんですよ(小声)。そんなわけでちょっと心残りではありましたが、それは翌日の課題ということにして、お店を後にしました。

 再び嵐山に戻り、土産物やさんで時間をつぶし、そしてキラヤさんはバスに乗って嵐山を去っていきました。バスを待っている間、八ツ橋を持った人形(夕子?)から延々と流れる「イヅツヤツハシホーンポ♪」のフレーズが私たちの耳をいや、頭を捉えて離しませんでした。
 それでは、後編へ続きます。

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この日のベストショット。強い意志が伝わってきます。
(2006/2/5)

 今年の桜はいつもと違うのか…? 桜だけではなく、何だか全ての花がいつもより美しく咲いているようで、花を愛でるという気持ちが強く、例年より多めに花見をしております。

013b-rengeji-sakura さて、4月も下旬になると華やかに咲き誇った花は散り、色鮮やかな葉桜となっておりますが、それは主にソメイヨシノの話。遅咲きの桜を楽しもうと仁和寺へ…のつもりが御室桜もかなり散っていたので(写真は仁和寺駐車場の近く、五智山 蓮華寺にきれいに咲いていた桜)、yahoo!開花情報で満開と出ていた梅宮大社(うめのみやたいしゃ)へと行きました。

013c-umenomiya-matageisi  この梅宮大社さんは、子授けにたいへん御利益のある神社さんらしいです。左の写真は「またげ石」といい、またぐと子宝に恵まれるそうです(ちゃんと祈祷を受けないとまたぐことはできないそうです。詳しくは梅宮大社のHPでご確認を)。ですが、この日の私たちはもっぱら花見が目的だったので、社務所で入苑料の500円を払いさっさと神苑へ。

 訪れたこの時季は、ちょうど八重桜が満開で、そしてツツジも咲いておりました。桜だけじゃないのがお得な気がします。よく晴れたい空に、桜とツツジのピンク、そして木々ののコントラストがあざやかできれいです。池には菖蒲が咲くようで、その季節はがしっとりとした感じで、また美しいでしょうね。

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 お昼時だったので、出町柳の「おにぎり屋さん」で買ってきたおいしいおにぎりとだしまき卵で、まだ咲いていない菖蒲を眺めながら昼食。話はそれますが、この「おにぎり屋さん」のおにぎりはホントにおいしい。手作り感というか、ちゃんと手作り(目の前でおばちゃんがせっせと握ってはります)で、京都・叡電ならではの素材(鞍馬とか貴船とかのちりめん山椒とかしぐれ煮とか)を使ったおにぎりがたくさん並び、それらは固すぎず柔らかすぎず…。この辺まで来たらコンビニじゃなくて、ぜひここで買いましょう。おすすめです
 …そうそう、そんで、花を眺めつつ、カエルの声を聞きつつ、おにぎりを食べたのでした。

 とまあ、そんな感じのミニ花見でした。桜はもう終わっただろうけど、菖蒲とかまた別の季節に行くのもよさそうです。静かで落ち着いていて、オトナ向けです。みなさんもどうぞ。
名称:梅宮大社(うめのみやたいしゃ)
場所:京都市右京区梅津フケノ川町30
みどころ:四季折々に様々な花を咲かせる神苑。のどかです。
入苑料:500円 私にはちょっと割高な感じ
詳細情報:HP(http://www.umenomiya.or.jp/index2.html)あり。掲示板もあるのはめずらしい。
(2005/5/2)

 なかなか桜の開花の遅い2005年4月の初め。それでも確かに春は訪れているはず。そんな思いで、きよこと、友人のKさんとTさんは休日を利用して3人で春を探しに外へ出かけたのでした。みんな、天気のいい日は読書より散歩よ

 まずは北白川の疏水沿いからスタート。詳しい場所は…教えたくないです。某有名大学のグラウンドで練習に励む若者を斜めに見下ろす感じで歩き始めます。まだ桜はほとんど咲いていません。
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 このあたりは車がほとんど通りません。しかも自転車も通行不可の歩行者専用道路があります。静かで、少々薄暗く、散歩にはもってこいです。道路もほどよい舗装具合です。鳥の声も聞こえてきます。桜以外に(たぶん)木蓮とか(きっと)沈丁花とかいろいろな花が咲いてました。花の名前には詳しくないのですが、なーに、花を美しいと思う気持ちが大切なのよ、と開き直ります。四季折々楽しめます。近所で犬を飼っておられる方など、最高の環境ではないのでしょうか?
 途中、絶好の花見スポットがあります。きよこのお気に入りです。近くにベンチもあるので、ひと休みできますが、この日はまだ桜も咲いていないので、ひと休みしません。


 さて、薄暗い小途を歩き続けるとだんだん明るくなってきます。いつの間にか白川今出川、哲学の道に到着です。静かだった大人の散歩道は、突然観光地のにぎやかなミーハー散策路に変貌します。今の哲学の道で哲学なんかできないよ、とつい思ってしまいます。大勢の観光客と人力車の兄ちゃん、たくさんの土産物屋さんで大忙し。ここで、KさんとTさんはさくらソフトクリームを買いました。私は寒がり(この日は少し寒かった)と知覚過敏のため、遠慮。遠慮したものの、2人に少しずつわけてもらいました。おいしかったです。
 しばらく、哲学の道を歩きます。やわらかい陽射しが心地良く、昼寝している犬も気持ちよさげです。桜はまだ1分咲き程度ですが、時折おませな早咲きの木もあり、みんなが(もちろん私たちも)写真を撮っていきます。


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012f-baiten ふと、ほぼ満開のきれいな桜に出合いました。その桜に導かれるようにして、椿しだれ紅梅狛ねずみで有名(らしい)「大豊神社」へ立ち寄りました。そこは強い売り込みもなく、演出といえば椿の花がそこかしこに置かれているくらいの、ひそやかで素朴な感じが好感の持てる神社さんでした。しだれ紅梅は満開に近く、椿や木蓮、Tさんが「ぶどう?」と言った木五倍子(きぶし)も咲いていました。もしかして、いちばんいい時季に来たのかも。他にもいろんな花があり(親切に「馬酔木」とか手書きのプレートが添えてある)、四季折々に草花が楽しめそうです。そして、狛ねずみも愛らしく、愛嬌のある狛犬狛猿狛鳶までもいました。かなりお気に入りスポットになりそうな予感です。
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ウチの紅梅すごいだろ、って自慢してるみたいな狛犬。表情がわかりづらいですね。ごめんなさい。

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かわいらしい狛ねずみ。左のコは酒器、右のコは巻物を持ってるそうです。足元に椿がありますね。


 はてさて、そんな大豊神社を後にし、てくてくと歩いていくと、何やらただならぬ雰囲気の洋館が見えます。どうも喫茶店のようですが、もう閉店して長いのか、すっかり廃墟です。「本日終了です」か何か書いてありましたが、明日になって開くとは到底思えない。好奇心旺盛な少年探偵団のように3人で薄暗い階段を降ります。閉ざされた門扉の外から眺めると、ネコが数匹います。…まさか、ネコ専用の喫茶店? 廃墟かと思うけれど、時計は正しい時刻を指している模様。…何だか謎めいています。気になるけれど何も調べられない探偵団は、謎は謎のままにすることにして、また歩き出しました。

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階段を下りると…(左)、閉ざされた門(中)、時計は正確だが(右)…って見えないね。外観です。

 その後、穴場も穴場、誰も通らないような道を歩いて、桜を始めとする春の花を楽しみました。歩きも歩いたり、気づけばもうすぐ動物園。動物園図書室にもいつか行ってみたいね、と話しつつバスでスタート地点に戻りました。そして、ケーキ屋さんで桜のタルトや桜のブランマンジェを食べ、ガケ書房に行き楽しんだのですが……まぁ、それはまた、別のお話…。

おまけ写真
数日後には一気に満開になりました。ちょっと角度違うけど、1枚目とほぼ同じ場所です。

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(2005/4/18)

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