――あるとき気づいたら、ホットケーキハンターとしての使命に目覚めていた。

卵が好きで、牛乳が好きで、生クリームとあんこは少し(かつては「とても」)苦手。
ふわっとしたお菓子や香ばしい系は好き。ものっすごく甘いのは苦手。
そんな私が、よりすばらしいホットケーキを探し求め、京の町を歩いた。
その成果の一部として、特に気になったホットケーキをここに記しておく。

ちなみに、ホットケーキとパンケーキの違いはよくわからないが、ぼんやりと皆さんが思っておられるイメージと同じだとして、私はホットケーキの方が好きだ。
よくわからないが、お店がパンケーキだと言っていればパンケーキ、かと。

ちなみにちなみに、twitterまとめTogetter「京都でおいしいホットケーキを食べたい!」もどうぞご覧ください。

寺町にあるスマート珈琲は定番である。名店である。使命に目覚める以前からよく行っていたので、そしてこのところ常に長蛇の列で入れないため、実はホットケーキの写真がない。ふわっとしていて、ザ・ホットケーキ、なホットケーキで、おいしい。私がわざわざおすすめするまでもない。ベタである。でも、ずいぶん食べていないので、食べたい。

二条駅近くの雨林舎。こちらもシンプルなホットケーキらしいホットケーキ。外側はパリッと中はふんわりもっちり、全体的に重厚感が感じられる。シングルとダブルが選べる。メイプルシロップではなく、れんげはちみつが添えてある。
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京都で「ホットケーキで有名」なお店ではないが、けっこうおいしかったよ、というのがこちら。
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これは北野天満宮近くのMONICA(北野店)でいただいたホットケーキ。厚みがけっこうあるのがわかっていただけるだろうか。ホットケーキの人気店というのは厚みがひとつの評価の指標となっている、と私は分析している。また、温かいメイプルシロップが添えられていたのは、この店以外に未だ知らない。隠れたホットケーキスポットだと思う。

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この写真のホットケーキは、千本今出川の静香のものである。ここの特徴は「ふわふわ」「つゆだく」「甘い」「安い」「レトロ」である。シロップひたひたなために、かなりの甘さになっている。こんもりと上に乗っているのはアイスではなく、マーガリンである。私の好みからは少しはずれる。
「戦前の家具を現役で使うレトロな空間(『京都いいとこマップ』2012年3-4月号より)とあるが、戦前から現役なのは家具だけだろうか……? ホットケーキよりもいろいろ気になるところがいっぱいあったが、知りたい人は直接私に聞いてもらうか、お店に赴いて直接その目で確かめてほしい。

パンケーキも食べる。
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嵐電「嵯峨」駅近くのカフェ・SAGANO-YU。銭湯をリニューアルしたこちらのカフェでいただいたパンケーキ。
実は、数年前に店頭の写真と「ふわぁっふわぁっのホットケーキ」という文字列に反応して実食したが、その時は「誇大広告だ!」と憤る結果となってしまった。長らくここのホットケーキ(パンケーキ)を食べることを拒絶していた。それがこの一連のハンター活動の一環として、再度実食。「…あれ、おいしいやん……!!」以前のアレはなんだったんだろう。
確かおからの練り込んであるパンケーキで、お店の言う「ふわぁっふわぁっ」というより、「ふわっともちっと」した印象である。でも、おいしい。

「京都」×「ホットケーキ」で検索するとかなり上の方に出てくるのが「幻のホットケーキ」である。お店は祇園にあるcafe BLUE FIR TREE(ブルーファーツリー)。厚みなんと4cm!!(目測)
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注文してから30~40分ほど待つことになる本品。表面はカリッと、中はふわっと。絶品であることは間違いないだろう。ただし、写真はいわゆる「龍安寺の石庭」のような効果があり、思ったほどの巨大なものではなかった。あと、何が幻だろう、みんなけっこう食べてるみたいなのになぁ…と思っていたらメニューの名前が「幻のホットケーキ」だったのだ。

そして、こちら。ホットケーキとパン・ケーキの中間のような存在。薄くはない。
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寺町のSHIN-SETSUで出される鉄板ホットケーキ。メニューではパンケーキになっていたように記憶している。表面はカリッと、中はふわっと。バターは上部中央ではなく、底面に配置されていたようで、しっかりと行きわたりなおかつ香ばしさをプラスしていた。正直、スマート珈琲のホットケーキしか食べてなかったのにスマートが一番だと思っていた頃で、ガツンとやられた。かなり好みである。

これらのホットケーキあるいはパンケーキに序列をつけるのは、難しく、しかも愚かな行為であろう。人それぞれ好みはあるし、私の中でも気分で変わる。
それでも敢えて…今、食べたいのはどれか、自らに問うてみた。
それは、寺町の2店。スマート珈琲とSHIN-SETSUのホットケーキ。これだ。
なんだ、やっぱりそこか、と思われるだろうか。しかしこれは、探しまわって苦悩を続けたあげくの、一周回ったうえで戻ってきてこの結論である。「なんか、スマートってゆうお店のホットケーキおいしいらしいよ。じゃあ並ぼうか」というのとは違うのだ。……と思いたい。

それにしても、たかがホットケーキ、されどホットケーキ――である。一つとして同じホットケーキには出合わない。

(たぶんつづく)