みなさん、こんにちは。ご無沙汰しております。ご機嫌いかがでしょうか。落ち込んだりもしたけれど、私は元気です。

 あいさつ、というのは短い言葉の中にいろんなエッセンスが凝縮されているように思います。私はこのあいさつがいろいろ気になっている一人であり、また、クールでスマートに使いこなしたいと気にし続けている者でもあります。

 まずひとつは、TPOに応じたあいさつをきちんと選びたい、ということです。
 たとえば“すみません症候群”とでも言いましょうか。「ありがとう」と言うべきところで「すみません」は使う方がけっこういらっしゃいまして、それについて、うーんどうかなぁ……、と思うのです。すまないは申し訳ない、謝る気持ちであって、「ありがとう」の感謝の気持ちとは違うと思うんです(といいつつ“感謝”“謝罪”と同じ“謝”の字を使うんですよね。この話は機会があればまた)。私としては、誰かに何かをしてもらった時には「ありがとう」、自分が何かしだかした時には「すみません」…という使い分けがいいのかなぁと思っております。
 「すみません、ちょっとよろしいですか」みたいな「すみません」の用法もありますね。この場合には私は「失礼します」と声をかけるようにしています。悪いことをしているわけでもしたわけでもないのだから「すみません」と謝るより、「失礼します」の方がいいと思っているのです。
 そんな感じで、私は私のルールで、かける言葉を選んでいます。

 それから、もうひとつ気になっていることを。
 お店などに行った時によく見かけて、なおかつ気にかかって(気に障って?)仕方ないのですが、“やまびこあいさつ”などと呼ばれる声かけ。客が入店したのを見かけた店員が「いらっしゃいませーー!!」「いらっしゃいませこんにちはーーー!!!」などとあいさつをします。するとその声を聞いた別の店員がまた「いらっしゃいませーー!!」と声をあげる。これを店員全員がやるので、お店のいたるところから「いらっしゃいませーー!!」が聞こえることとなるのです。静かであった店内に「いらっしゃいませ」がこだまするのです。
 店側の意図もわからないではありません。元気よく活気あふれる店づくりの一環なのかな、と。暗~くぼそっと「いらっしゃいませ……」と言われるよりは、あるいは無言でいられるよりは、はるかに爽やかであることは確かです。また、このあいさつは万引き防止の効果もあるとも聞きます。
 けれどけれど、店内に入り、何人もの遠いところの人があいさつするのは、あいさつされる側として何だかすっきりしないのです。店に入ってしばらくすると、近くにいる店員が突如(どこかの声に反応して)「いらっしゃいませーー!!」と声をはりあげるのでびっくりすることもあります。もっと言うと、商品の棚出しをしながらどこかの「いらっしゃいませーー!!」に反応して、顔も動かさず(客の方を見るわけでもなく商品・棚を向いたまま)「いらっしゃいませーー!!」と言っていることも、よく見かけます。正直に言うと、気分がよくない。これでは“いらっしゃいませ・こだまマシーン”ではないですか。あいさつは“心の表れ”なのですから。(店の規模や雰囲気に合わせつつ)さわやかに、できれば上品に、スマートに、ていねいに、お客さまを向いて、おこなってほしいものです。し、おこないたいものです。

 さて、変わって別の話。「ありがとう」の話です。
 ある時、テレビを見ていたら、こんなことを言っていました。大阪(関西)では、バスを降りるときに、お客の側が(も)「ありがとう」と言うのだ――と。番組では驚きをもって伝えていたのですが、私としてはそっちの方がフツウだと思っていました。
 今住む京都でも、地元でもそれが当然でした(もちろん言わない人もいるのですが)。少なくともバス通学していた頃、小学生たちがみんなお行儀よくありがとうと言っていたのを覚えていて、年上である私の方が見習おうとしていた記憶があります。また、買い物をしていても、お店の人とお客の双方が「ありがとう」と言っているのをよく見聞きします。お店の人が言うのはもちろんだけれども、お客の側も「商品をくれてありがとう」「サービスしてくれてありがとう」と言うのです。これが不思議だと言われるのが、むしろ不思議です。またたとえば図書館で、本を借りたり返したりする時に、図書館職員も利用者も「ありがとう」と言うのは「おかしい」と主張する人もいます。
 こういった話を「おかしい」と思う人は「ありがとう」を支払われた対価に対してしか使わないものだと思っているようなのです。それは少しさみしい気がします。

 そういえば、「いただきます」「ごちそうさま」についても同じような話を聞いたことがあります。学校給食で、言わない子がいるらしいのです。というより、親が子に、学校で「いただきます」「ごちそうさま」を言わないように教育しているそうなのです。「学校が給食を出すのは当然だから」「こちらが給食費を払っているのだから」言わなくてよい、と教え、教師にも自分の子には言わせないようにと言っているらしいのです。
 まぁもちろん、いろんな考えがあっていいんだし、それを言っていればよい子に育つ、いい大人になる……なんて単純なものでもないでしょうし。とはいえ、何とも言い難い気分になります。
 ただ、日本人は、お金を払わない相手にも「ありがとう」を言ってきたし、作ってくれた人だけでなく目の前にある食物を「命」と見、感謝をこめて「いただきます」「ごちそうさま」を言える民族性ではなかったかと思います。日本人は、とか民族性だとか、えらそうなこと言いましたが、「ありがとう」「いただきます」「ごちそうさま」を、すっと言えるのはいいことだと、私は思っているということです。

 形だけのあいさつをするのもどうかと思うのですが、形から入って意味を知って、心がともなってくることだってあると思います。
 とにもかくにも 心あるごあいさつ、していきたいと思う今日この頃です。

 ご無沙汰しています。お元気ですか? お越しいただきましてありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

(2010/10/5)