数多くあるチラシの中からこのチラシを手に取ったのは、ニコーが好きだったからでもなく、お買い得品がたくさん載っていたからでもない。その理由は、裏面に印刷がなされてなかったから、である。そう、私は裏紙を求めていたのだった。最近は片面印刷のチラシがめっきり減ったように思う。これも不況の影響だろうか。とにかく、ニコーのチラシは片面印刷であり、それゆえに私の目にとまることとなった。

 改めてチラシ掲載の内容を見てみる。なるほどお買い得品ばかりである。特におどろいたのは、「通し商品」欄の「長崎県産えのき茸(3袋)88円」「白身フライ・イカフライ(各1枚)各20円」「夕方4時より7時までタイムサービス」欄の「塩さんま(1尾)39円」などである。私の住んでいる地域、あるいは私がよく利用する店舗では、これほど安くなっているのを見たことがない。サンマなど、安くなっても一尾78円ほどである。えのきも1袋の値段と同じくらいだ。衝撃を受けた。買って帰ろうかとも思ったのだが、これは「4(火)」のチラシであり、今日はすでに6(木)になっており、残念というほかない。時は過去には戻せない、ということを改めて実感した。

 また、卵が78円というのにも目を惹かれた。そう、私は卵が大好きなのである。しかし、よくよく見ると1パックは「(8個入)」とあり、「他に500円以上お買い上げの方」という注意書きもある。私がよく利用するスーパーマーケットでは、毎週水曜日(時には土曜日にも)に10個入りのパックが98円~78円ほどで買えるのである。赤たまごと白たまごの違いはあるが、ついつい比較してしまう。どこのスーパーでも客をひきつける努力をしているんだろうなぁ、と思った。

 そして、このチラシを見て最も気になった商品は「通し商品」欄の「揖保の糸そうめん(300g)198円」であった。なぜ気になったかというと、このチラシのお店があり、そしてチラシを受け取り店を利用する人たちがいるのは、「神埼そうめん」で有名な神埼市である。「揖保の糸」は言わずと知れた兵庫県の特産品である。もちろん「揖保の糸」もおいしいことは十分承知しているのだが、佐賀の店・神埼の店であるならば「神の白糸」「伊之助めん」などといった神埼そうめんを販売し、売り出すべきではないのだろうか。そうすることで地元の企業を応援し、地元に密着し、地元に愛される商売をめざすというのがではないだろうか。たかがそうめん、されどそうめん、である。神埼といえばそうめん、というほどにそうめんが「売り」のこの神埼で、この行為はあまり好感の持てるものとは思えない。このことは、店側に再考を願いたいものである。

 私は、このニコーという店を知らないが、このチラシを読むことで様々なことを知ることができた。このたった一枚の紙から、私は大きなナニかを得ることができたようにも感じた。それは何だろうか。たとえ一枚のチラシでも、たった一行の言葉でも、人を動かす力を持っている。同じようなチラシが多く並ぶ中、このチラシが私の心を動かしたように。ともすれば、自分のちっぽけさばかりに思いが向かってしまうこともあるが、同じようなニンゲンに見えてもひとりひとりはそれぞれ違う人物なのである。私のことばが、私の行動が、誰かの心に触れ、動かす――。私もそういう生き方をしたいものだと思った。

(「本日ポイント3倍 真夏のニコー大作戦 第2弾!!」2009年8月)

(2009/9/17)