みなさんは、京都という土地にどのようなイメージを抱いていらっしゃるでしょうか。また、何を求めて来られているのでしょう。神社・仏閣、歴史、古都、自然、建築……人によって切り口はさまざまです。その中で、忘れてはならない、しかしそれでいてあまり表だって語られないキーワードがあるのです。それは裏の世界の話――。そう、妖怪怨霊魑魅魍魎……、そういったたぐいの話は京都とは切って離せない仲なのです。
 ――そんなわけで、怪談にぴったりな蒸し暑い京の夏を、「あやかしつながり」で巡ってみました。とはいえ、いわゆる心霊スポットを訪ねたわけではありません。わざわざそんなとこ行かなくったってどうせ、みんながこぞって訪れるアノ有名観光地も、あなたの立っているソノ場所も、みーんないわくつきなのです。今回は、ちょっとした妖怪系スポット・イベントに訪問・参加してみただけのことです。
 それでは、「京の都・妖(あやかし)(もののけ)ツアー」スタート。


 じりじりと容赦なく日差しの照りつける猛々しい夏。待ち合わせ後にまず向かったのは、町家を利用したカフェ。ちょっと涼みたいですしね。それも、ふつうのカフェじゃなくて、なんとメイドカフェです。

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 その名も「妖怪堂」。実は、妖怪堂ができて(私が存在に気づいて)すぐの頃から長年行きたいと思っていたのに、なんと初訪問のこの日は閉店間際。残念でなりません。そして、かつては妖怪カレーなどもあったようなのですが、メニューは「ドリンク+妖怪話(30分)=1000円」のコースのみ。普段は日曜祝日のみに行われるコースだそうです。
 築200年とも言われる(傾いてそうな)町家の2階へ通されます。いかにも……です。エアコンはありません。ドリンクを注文し、部屋の中をしげしげと見つめつつ待ちます。
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 しばらくして、店主の葛城凶さん登場。「妖怪の話と京都の話、どちらがいいですか?」ということで「妖怪話」をオーダー。いわゆる“怪談”ではなく、妖怪とは何か、というお話。民俗学とかにも通ずるような、ね。スケッチブックや本を手に「私は妖怪見たことありますよ」「妖怪っていつ頃から描かれたと思います?」などと語る葛城さんの声に耳を傾ける私たちは、ちょっとおもしろい先生の講義を聴く学生さんのようでした。
 閉店セールとして、お店のものを売れるだけ売りに出されてました(玩具からガラスケースまで)ので、私たちも購入。「鬼」と妖怪「うわん」のお面を格安(100円と300円)でお譲りいただきました。
 またここに来たいけど、もう来られない。楽しくもせつないひとときを過ごし、「妖怪堂」を後にしました。

 さて次は、商店街に向かいます。メインイベントまでちょっと時間がありますからね。場所は一条通・大将軍商店街。人呼んで「妖怪ストリート」――。
 ぱっと見普通の(どちらかといえば地味な)昔ながらの商店街。ここの何がどう妖怪なのかと申しますと、そこかしこに妖怪がいるのです。たとえば……

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新食パンじじい リニューアルで新しくなったらしい

そして、妖怪ラーメンだの妖怪コロッケだの妖怪パンだのが商店街で売られているのです。妖怪資料館もあるようですし、妖怪解説看板もあります。

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夜道に急にあらわれ「うわん!」とさけびながら歩いている人をおどろかすいたずら好きな妖怪(以下略)

折に触れて各種妖怪系イベントも催され、妖怪好きにはたまらないところでしょう。そんな神頼みならぬ妖怪頼みな商店街が「妖怪ストリート」なのです。ああ、もっとゆっくり来たかったなぁ。

32h-yokaidensya  そしてそして。カフェ、商店街と来て、最大にして最後の目的地は、電車です。目的地に向かう手段が電車なのではなく、電車に乗ることそのものが目的です。賢明な読者諸氏にはお見通しかと思われますが、「妖怪電車」でございます。すっかり京都の夏の風物詩として定着し始めた感もなきにしもあらずな、嵐電の「妖怪電車」です。初年度に参加いたしました時のもようはブログ記事を探してご覧ください。
 四条大宮発の妖怪電車に、妖怪として乗り込みます。妖怪電車に妖怪が乗るのは50円です。ここに着くまでにたくさんの交通費をかけていますけどね。「誰が見ても一見して妖怪とわかる」ことが条件、つまり見た目は人だけど中身は妖怪なの、では許されません。そう言いたいのはヤマヤマですが、妖怪堂さんで買ったお面をつけて窓口に行き、妖怪認定証と専用切符を受け取ります。妖怪と妖怪好きの人をたくさん乗せ、いよいよ、妖怪電車の発車です。

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 妖怪堂さんの「うわん」のお面をかぶっていた私は、どうも大人気でした。(どうもというのは極端に視界が狭くてわからないのです。)「どこで買いました?」と聞かれたり、顔を見るなり泣き叫ばれたり。私としては、ずっと「うわん」を演じていたかったのですが、いたいけな幼児が本気で怖がって泣くので、やむなく時々はずしました。お面の下はとびっきりの笑顔なのに。もう、そんな小さな子、泣くに決まってるじゃん、とか言ってはいけないのです。泣く子がいるからおもしろいんですから。あ、でも、うわんだけでこれだけ騒がれるとなれば、次回参加する時のアイデアとして「うわんのお面の下にさらにのっぺらぼう面をつけておき、お面をはずすとのっぺらぼうが現れる」というのがあるのですが、のっぺらぼうを見てしまった子どもにトラウマ(心的外傷)を与えかねないので、少し考慮の余地がありますね。
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 阿鼻叫喚の妖怪電車は、途中下車途中乗車不可。途中で乗り込むのは妖怪のみ。気づけばあっという間に「嵐山」駅。次の電車の出発を待つ人たちに写真を撮られながら、オトナ妖怪のふたりは、駅ビアを一杯。

 妖怪がいると言い張るのも、いないと思うのも、自由です。私にはそれとわかるモノは見えません。が、それが単に見えてないのか、見えているのに気づいていないのか……。自分の見えているモノがほかの人の見えているモノと同じかどうかなんて誰にもわかりませんからね。だから、私の正体が何者なのかなんて、どうでもいいことなんですよ。くれぐれも鏡に映そうとかしないでください…ね……。

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カフェ名称:cafe妖怪堂
場所:左京区孫橋通新麩屋町東入大菊町…でした。
アクセス:京阪「三条」駅、地下鉄「三条京阪」下車、徒歩5分ぐらい…でした。
営業時間:13:00~22:00でした。
定休日:不定でした。今はやってません
見所:そりゃあ、雰囲気。全部。
残念:今はこの場所でやっておられません。
サイトURL:http://maekake.com/yokai_index.html(それっぽい音が出ます)
ブログURL:http://blog.livedoor.jp/maturowanumono/(現在の活動など)

商店街名称:大将軍商店街
場所:上京区一条通
アクセス:嵐電「北野白梅町」、市バス「北野白梅町」か「北野天満宮」下車、徒歩数分
見所:妖怪でにぎわう商店街
残念:妖怪ラーメン食べたかった。
サイトURL:http://www.kyotohyakki.com/

電車名称:妖怪電車
アクセス:嵐電「四条大宮」「嵐山」「北野白梅町」でから専用電車運行
実施日:8月下旬の10日間ぐらい
運賃:大人200円、小人100円(土日は無料)、妖怪50円
見所:本職の妖怪とかわいい妖怪たちと大人げない本気の妖怪と、それにおびえる幼子たち
注意:妖怪に扮装すると、場合によっては視界が遮られて自分が楽しめないことも。
サイトURL:http://randen.keifuku.co.jp/event/2010/07/yo-kai2010.html
※記事中の一部写真は、同行した酔いどれ図書館員さんが撮影されたものを使用させていただきました。ありがとうございました。
(2010/8/29)