4月下旬から5月上旬にかけて、地下鉄東山駅を降りると、「一初の寺」と書いた小さな看板が目に入るようになります。近隣でポスターも見かけます。実は、数年前から気になっておりました。そもそも、「一初」ってなんだろう、なんて読むんだろう、というところから気になっていました。気になってはいたものの、気づくと公開期間が過ぎてしまっていました。今年こそ、今年こそ…と思いながらたぶん4年めになってしまったので、ここは予定をやりくりしてでも行くべきだと思い、がんばって行ってきました。

 東山駅から南へ、白川沿いを歩きます。白川は柳がきれいです。地図で確認しておいた感じでは、南に進んで少し東に入ったところにあるもよう。さて、どこで曲がるのか私にわかるのか……と思っていたら、親切な看板が出ていたので迷うことなくたどり着けました。

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善光寺京都別院、得浄明院

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 お寺に入ればまずはお参り。と、その前に拝観料500円。
本堂に入ってお参りします。お寺の方が説明してくださるようです。私が行った時はちょうど前の方たちへの説明が終わり、私ひとり。マンツーマンで説明を聞くことができました。

――ここが長野の善光寺の別院であること。
――仏さまは阿弥陀如来、勢至菩薩、観音菩薩。ひとつの光背で三人の仏さまがいらっしゃる、一光三尊というめずらしい様式であること。それを一光三尊阿弥陀如来、善光寺如来とも呼ぶということ。
――一初(いちはつ)というのは初夏にいちばんに咲くアヤメであるから一初だということ。
――でも今年は天候が不順であまりたくさん咲かなかったということ。
(そのためか、写真を本堂に飾ってそちらを見ながら説明していただきました)
――一初は著莪(シャガ)という花を品種改良したものであるということ。
――大きなアヤメは(ジャーマン)アイリス、とのこと。こちらが今盛り。
――ご本尊の前の花曼陀羅(花で作った曼荼羅)について。カーネーションで梵字の「キリーク」をかたどっている。
――このお寺では善光寺と同じく戒壇巡りができるということ。めったに体験することのない、そしてけっして目のなれることのない真の暗闇……

 などなどの説明を受けて、いざ、戒壇巡りへ。本堂から下へと続く階段。つまり地下へ。戒壇巡り、って本当に本当に真っ暗な中を進むんですね。右手が触れている壁のみが頼り。これっぽっちも明かりが洩れてこないし、確かに目が慣れない。試しに目を閉じてみたら大して変わりませんでした。
 前後の組とは少し間があいており、しかも私ひとりでしたので、闇と静寂のみ。いや、あと仏さま(たぶん)。ご本尊の真下へ来たら鍵(錠前)があるのでそれに触れたらご利益が、ということでした。触らない、という選択肢は選べない、なぜなら暗くてどこにあるかわからないので、気づいたら触れている。そんな真っ暗闇。2時間ドラマだったら私は殺されているなぁ、とあほなことまで考えて、気づけば地上からの光が。怖いということはないのですが、“明るい”というのがこんなに有難いものかと知らされた、気がしました。
 本堂に戻り、次の方へなされていた説明を聞きながら、期間中展示されていた源氏物語の刺繍絵巻(といえばよいのかしら)をしばし鑑賞。そして記念に華葩(けは=散華)を300円で購入。

 境内に出て、一初などのアヤメたちを鑑賞。一初はかわいらしい少女のような雰囲気。ジャーマンアイリスはもうすこし豪華な貴婦人といったイメージでしょうか。

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 みなさん丁寧で親切で気さくで、たいへん感じのよいお寺でした。静かでしたし。お茶もいただけるようで、時間があればゆっくりしていきたかったです。だって、“光秀まんじゅう”とか“お大根シャーベット”とか、気になりますもの。
 また来年以降、機会があれば、いや、機会をつくって、行きたいものです。

名称:得浄明院(信州善光寺別院)
場所:東山区知恩院山内林下町
アクセス:地下鉄「東山」駅下車、徒歩5分ぐらい
拝観料:500円
拝観時間:9:30~16:00(たぶん特別拝観期間のみの拝観)
見所:一初などのアヤメ、戒壇巡り
甘味:一日限定30客「光秀まんじゅうとお抹茶」「お大根シャーベットと煎茶」各500円
(2010/5/17)